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RESの視点

Vol.6 「20時間以内」という正しさが、現場を救わない理由【RESの視点】

取材・文=RESnedia編集部

学校現場の働き方改革が叫ばれてから、だいぶ経ちます。

最近では、ある公立小学校の先生から、勤務時間外労働を「月45時間以内」から、さらに「月20時間以内」へ近づけていく方針が示されている、という話を聞きました。

先生方が長時間労働から解放されること自体は、もちろん望ましいことです。

子どもの前に立つ先生が疲弊しきっている状態で、よい教育が持続するはずはありません。

しかし、その先生は、勤務時間外労働に関するこの方針を、必ずしも歓迎していませんでした。「時間を減らす」という目標だけが先に立ち、そのために何をやめるのか、何を外部に委ねるのか、何を守るのかが十分に設計されていないというのです。

先生の仕事は、学習指導、生活指導、進路指導という、生徒に対する三大指導領域にとどまりません。保護者対応、行事運営、校務、地域対応など校内外を問わず様々な仕事があります。しかも、これらは一般的な業務とはやや性質が異なり、子どものためと思えばいくらでも手をかけられるものです。その多くは、いわゆるアウトプットが定義しづらく、「ここまでやれば十分」という線を引きにくい仕事なのです。だから、真面目な先生ほど仕事が終わりません。

この状況に対して、ただ「早く帰りなさい」とだけ言えば、何が起きるのでしょうか。

周囲の目が届く場で行えなくなった仕事は、自宅に持ち帰られるか、どこまで対応するかを先生個人の判断に委ねられることになります。仕事は消えず、ただ見えにくくなる。あるいは、子どもや保護者への対応の質が下がっても仕方ないと割り切られることになりかねません。

必要なのは、ただ時間を管理するという安易なアプローチではなく、学校という場における仕事を再設計するというアプローチではないでしょうか。「20時間以内」という数字は、目的ではなく結果であるべきです。

たとえば、先生の仕事の中核を再定義する。

先生にしかできない仕事があります。

子どもの表情の変化に気づくこと。家庭や友人関係の背景を踏まえて声をかけること。学びに向かう気持ちを支えること。こうした仕事こそ、本来、先生が時間を使うべき領域です。

他方で、中核以外の仕事を、先生以外の関係者がどう分担するかを考える。学習指導の一部は、デジタル教材や外部人材に委ねられるかもしれません。部活動や行事運営も、地域や民間との連携を前提に考え直せるかもしれません。保護者連絡や欠席管理は、仕組み化によって大幅に効率化できる可能性があります。

先生の仕事の再設計は、「個々の先生の仕事」にとどまる話ではありません。校内外の様々な関係者とのこれまでのやりとりすべてが対象範囲となります。こうした現場の仕事の範囲を漏れなく理解し、全体を構造的に捉え、見直した結果として、自然に時間が減る。それが、学校に求められる本来の働き方改革ではないでしょうか。

先生だけに数値目標が下りてくる改革は、現場を救いません。

むしろ、真面目な先生ほど追い詰められてしまいます。

いま必要なのは、「先生に何を背負わせ続けるのか」を問い直しつつ、「教育の現場」自体を再定義することではないかと考えます。

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