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RESの視点
【RESの視点】Vol.3 火をつけ、火を絶やさない教育

学習には時間がかかるもの。
魂に火をつける~教育の目的~
「教育とは魂に火をつけることであり、バケツを満たすことではない」
パウロ・フレイレという教育学者の言葉です。
教師が学習者を受動的な存在とみなし、知識を「預金」のように注ぎ込む教育モデルを批判しました。
対して、
- 学習者の主体性
- 対話的な教育
- 批判的思考の育成
の3つを提唱しています。
「被抑圧者の教育」に見られます。
今では、至極もっともな考え方といえそうですが、言うは易く行うは難しの典型ではないでしょうか。
「学」と「習」
『論語』の「学而編」の冒頭に、
「学んで時にこれを習う、また説(悦)ばしからずや」
という一説があります。
「勉強して、時々に復習をする。これはなんと悦ばしいことであろうか」と教わるのが普通です。
能楽師の安田登さんは、『身体感覚で『論語』を読み直す』の中で、これはニュアンスがかなり異なると主張されています。
- 「学」は、机に向かってする勉強ではなく、手取り足取り教わり、そして自分も手足や全身、五感をフルに使って何かをマネすること。
- 「習」は、鳥がパタパタと飛び立つさま。
長い、長い、本当に長い稽古期間を経て、ある日、体が自然に動く状態になる。これが、悦楽の瞬間だというのです。
まさに、雛がかえるイメージの延長にあるのが「習」です。他方で、忘れてはならないのは、「学」の方です。学習者に主体性があっても、本当に何かを習得するには、一定の時間がかかるということです。
火をつけ、火を絶やさない
最初に、学ぼうとする気持ちに火をつけるだけではなく、学びの悦びにたどり着くまで、火を絶やさないようにするのが教育者のあるべき姿だというのがフレイレの考えでしょう。
RESで発掘したいのは、このような教育サービスです。
参考文献・引用・注釈
『被抑圧者の教育学 新訳』パウロ・フレイレ(三砂ちづる 訳)、亜紀書房
『身体感覚で『論語』を読み直す。』安田登、新潮社
RES=教育サービス開発評価機構